よく聞くCMソングも実は音商標!新しいタイプの音商標を解説!

音商標は、2015年4月より特許庁で登録が認証された音源だけの商標をいいます。音商標は、サウンドロコ、音響商標等と呼ばれ、欧米では前より登録商標が認められてきました。日本ではこれまで商標として肉眼で把握できるものを保護してきましたが、今後は新しいタイプの商標である音商標も商標権の保護対象になります。

索引

(1)音商標とは

(1-1) 新しいタイプの商標

音商標とは、新しいタイプの商標に入る商標で、楽器等による音楽、人間の音声、自然の音等の音源だけで構成されている商標をいいます。

従前の日本の登録商標制度では、保護対象となる商標は肉眼で把握できるものに限定されていました。

ところが欧米では肉眼で把握可能な商標ばかりでなく、音を商標と認証して商標権が与えられてきました。

今後、多国間条約、二国間条約により知的財産制度の運用がグローバル化されていくと、音等を商標として保護しない我が国の立場は、音等を商標として保護する他の諸外国に比べて不利になります。

また従前の商標以外にも、これまで保護してきた商標と同じ機能を発揮することもあり、商標の保護対象を広げる要求が国内からもありました。

2015年4月から新しいタイプの商標を保護して商標の保護基準を日本独自基準から国際基準に変えました。

音商標に限定されず、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標および位置商標も新しいタイプの商標です。

(1-2) 継続的使用権

2015年4月以前より業務に音商標を使うケースでは、商標法改正後に音商標制度が始まっても音商標の継続使用が可能となる継続的使用権が得られます。

一方業務に音商標を使っていた事実は、継続的使用権があることを主張する側が裁判で立証しなければなりません。

このため確かに音商標を使っていたが、その証拠が一切残っていない場合は音商標の継続的使用権が認められないケースもあります。

(1-3) 自他商品・役務の識別力を有しないもの

音商標を初めとする新しいタイプの商標も、商標の機能がなければ特許庁の審査で不合格扱いです。

商標は、他人の商品と自己の商品とを区別できる自他商品・役務識別力を持っていることが求められます。

例えば、授業の終了を知らせる学校のチャイムの場合、このチャイム音も音商標の一種です。しかし、学校のチャイムを聞いてもどこの学校なのか分かりません。

この学校のチャイムの様に、音の商標ではあるけれど、どこの学校の音が分からない音商標を、自他商品役務識別力がない、といいます。

自他商品役務識別力がない音商標に商標権を与えて一つの学校に独占させると、他の学校が困るのです。特許庁では自他商品役務識別力を有しない音商標は不合格です。

(1-4) 著作権との違い

音商標は商標として保護可能です。また楽曲や唄も著作物として保護可能です。では音商標の商標権と著作権との違いは何でしょうか。

音商標と著作物の音源の長さの違い

音商標のケースでは、比べる音源と似ているか似ていないかが権利侵害の重要ポイントになります。

これに対して著作物のケースでは、楽曲等をコピーしたかどうかが重要ポイントになります。

似ているかどうかを比べる際は、音商標は音源が”短い方”が有利になります。音商標は、音商標「全体」が似ているかどうかにより判断されます。音商標の個々の音符に権利が存在するというよりは、音商標全体が一つ商標権を形成しているとみます。

音商標が長いケースでは、商標権の権利範囲が狭くなります。

例えばドレミの音符列に比べて、ドレミファソラシドの音符列は権利範囲は狭いと考えます。ドレミファソラシドの場合は、「ドレミ」に「ファソラシド」の限定がついているからです。

東京都よりも東京都千代田区の面積が狭いのと一緒です。

一方、著作物の場合は楽曲が短いと有利になるわけではありません。相手がコピーした箇所が多ければ相手は侵害の言い逃れができなくなります。

音商標と著作物の権利発生の違い

音商標のケースでは特許庁の審査を通過し登録により商標権が生じます。楽曲の著作物のケースでは役所に申請しなくても著作物が出来た時点で著作権が生じます。

音商標と著作物の権利行使の違い

音商標による商標権のケースは、相手がこちらの音商標の模倣の事実が存在しなくても差止請求や損害賠償請求ができますが、著作権のケースでは模倣の事実がないと権利行使ができません。

音商標の場合は、侵害する意図がなくて、たまたま似た音を使っていても権利侵害として訴えられます。

(2)音商標の登録出願

(2-1) 音声ファイルの提出

商標登録の書類を出す時に、願書に商標や指定商品、指定役務等を書いて特許庁に提出しますが、音商標の出願のケースでは音声ファイルを添付します。

一つの申請に対して一つの商標をメディアに入れます。

メディア(記録媒体)

音商標を記録するメディアはCD-RかDVD-Rです。これらと違うフロッピーディスク等は特許庁で受け付けられません。

ファイル形式

音商標を格納するファイル形式は以下の通りです。

  • 記録周波数:44100ヘルツか48000ヘルツのいずれか
  • サンプリング割合:128kbpsか256kbpsのいずれか
  • ビット:16ビット
  • 格納容量:5メガバイト以下

ファイル形式が異なっていると直すように特許庁から指令がきます。

(2-2) ラベル面の記載

音商標を記録するメディアには、音声を記録できない側にラベルを表示します。

  1. 「商標法第5条第4項の物件」のタイトル
  2. 事件の表示
  3. 音商標を主眼する人の氏名または名称

(2-3) ファイル名の記載

音のファイルの保存の際に、出願番号と拡張子を半角英数字でかきます。出願番号がないときは出願人の名前と整理南郷と拡張子を半角英数字でかきます。

(2-4) その他の注意点

メディアは一枚ごとにケースに入れて出します。またメディアがウイルスに感染していないか事前に確かめます。特許庁からのメディアの返却はありません。

(3)音商標の審査基準

(3-1) 識別力について

商品が通常発する音

炭酸ジュースの”しゅわしゅわ”というジュース自体が発する音とか、焼肉のじゅーじゅー焼ける音は、ありふれた音のため商標登録されません。

自然音を認識させる音

風が吹き抜ける”ぴゅーぴゅー”等の音とか、落雷の”ゴロゴロ”等の音はありふれた音のため商標登録されません。自然音を認識させる音は自然に発生する音を録音したものだけではなく、パソコン等により合成した音も同様に登録対象外です。

楽曲としてのみ認識される音

テレビのコマーシャルでバックグランドミュージックとして再生されるクラシック音楽などもありふれた音として商標登録されません。オリジナル曲であったとしても登録が拒否されることもあります。

商品を使うとその商品が起こす音

子供靴で歩くたびになる”ぴよぴよ”音等もありふれた音として商標登録されません。

役務の提供に使うものが起こす音

列車が線路を走る際の”がたんごとん”音等もありふれた音として商標登録の対象外です。

(3-2) 音商標の同一性

音商標について、音商標の音符の部分だけでなく音商標にある言語の部分も合わせて総合し、商標を一つのものとして把握した後に、通常の審査と同様、商標法の規定に反していないか審査します。

音の要素が同一か否か

音商標のうち、音の部分が既に登録済みの音商標とか有名である音商標に一致すれば登録されません。

音商標を構成する言語的要素が同一化否か

音商標のうち、文字の部分が既に登録されている文字商標や有名な商標に一致すれば登録されません。

また文字を読み上げただけの音証票は、読み上げられた文字商標のこれまでの扱いと同じで、商標法に反するケースでは審査不合格になります。

また願書で音商標申請と記載しても、音商標とは認定できない内容が記載されているケースも審査不合格になります。

例えば、ヒットした歌謡曲の曲名だけが記載されていて、肝心の音商標の手がかりがないケースなどです。

(4)音商標の検索方法

(4-1) 特許情報プラットフォーム

音商標の検索は、特許庁のサイトにある特許情報プラットフォームから可能です。ネットに接続しているなら誰でも無料で調べられます。

図1 特許情報プラットフォームの音商標の検索画面

今回はサロンパスの”ヒサミツ”を例に取って説明します。

商標の検索画面の「商標のタイプ」の音商標にチェックを入れます。商標の対応にチェックをしないとうまく表示されません。

また称呼(単純文字列検索)の欄に、調べたい文字列の両側をクエスチョンマーク(?)で挟んでカタカナで入寮します。

検索ボタンを押せば3件が該当します。

図2 音商標の検索結果画面

画面の一覧表示ボタンを押せば、検索結果が詳しく出ます。

登録5804299のところを押すとより詳しい情報が表示されます。

図3 音商標の詳細画面

テレビでよくきくサロンパスの「ヒ・サ・ミ・ツ」の音商標の詳細を見ることができます。

商標番号があれば商標番号を入れても結果が出てきます。

(5)音商標の例

(5-1) 音商標の登録実例

特許庁で現時点で登録された音商標の代表例について紹介します。

大正製薬のリポビダンDのサウンドロゴ

大正製薬株式会社
本商標は、「ファイトー」と聞こえた後に、「イッパーツ」と聞こえる構成となっており、全体で約5秒間の長さである。
特許庁公開の商標公報の商標登録第5804565号より

痔にはボラギノールのサウンドロゴ

天藤製薬株式会社
痔にはボラギノール
特許庁公開の商標公報の商標登録第5833615号より

「YES!高須クリニック!」のサウンドロゴ

株式会社高須ホールディングス
たかすクリニック
特許庁公開の商標公報の商標登録第5836221号より

お仏壇の長谷川のサウンドロゴ

株式会社はせがわ
本商標は、「お手々のしわとしわを合わせて、しあわせ。なーむー。」という少女の声が聞こえる構成となっており、全体で7秒の長さである。
特許庁公開の商標公報の商標登録第5857148号より

セキスイハウスのサウンドロゴ

積水ハウス株式会社
セキスーイハウス
特許庁公開の商標公報の商標登録第5876273号より

カルビーのかっぱえびせんのサウンドロゴ

カルビー株式会社
やめられないとまらないカルビーかっぱえびせん
特許庁公開の商標公報の商標登録第5886594号より

ALSOKのサウンドロゴ

綜合警備保障株式会社
本商標は、「イチ、ニ、サン、シ、アルソック」と聞こえる構成となっており、全体で約3秒間の長さである。
特許庁公開の商標公報の商標登録第5902624号より

救心のサウンドロゴ

救心製薬株式会社
きゅうーしんきゅうしん
特許庁公開の商標公報の商標登録第5903252号より

なお2017年1月9日現在、特許庁に登録されている音商標は82件です。

(6)まとめ

音商標はテレビコマーシャルや音声案内のときに威力を発揮します。現在では実際に登録されている商標は200万件弱であるのに対し、音商標はたったの100件弱しか登録になっていません。

現在は障害となるライバルの音響商標が少ない状態ですので、サウンドロゴを保護するのによい機会だと思います。

一度、チャレンジしてみてください。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247


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